田舎に住まうキリストと弟子たち

キリスト
『田舎の話をしよう。何を隠そうこのキリストは田舎が大好きである。和んだ田園風景に癒しの海。こんな町を素敵な田んぼや緑の残る都会にする。どうすれば良いと思う?』

弟子
「そういえば、腰の曲がったおばあちゃん達は、毎日どんな楽しみを抱いて過ごしているのですか。本当に癒されなければならないのは、そういった日本の稲を作り続けた人達だと思います。」

キリスト
『一句、五七五七の俳句に乗せて、詠んでみるか。』

弟子
「ありがとうございます。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 素敵な日本を、見事なまでに作り上げた張本人は、背中の曲がった、おじいちゃん、おばあちゃん達。日本の稲を、作り続けてきた人達です。面白くない人生を受け入れ、お金を少しばかり頂き、米と野菜を主な食べ物とし、贅沢をせず、田んぼを見ては、嘆いてた いつかは日本 晴れるぞと 戦争受け入れ 苦しくて 戦地に行った 男達 見上げた根性 見せるなら 我らは日本に 留まりまして しっかり稲を 育てます 戦争行って 帰ってきたら 必ずやこの 美しき 見事に実った 稲を見せ たらふく食べて おくんなさい 涙で体が 震えては 行く末何人 もの命 奪って帰って 来たならば 貴方に見せよう この稲を 秋が来たなら 大鎌で 茎根ざっくり 刈る度に 己の人生 省(かえり)みて 貴方の事を 考えた 戦地に行った 貴方なら 分かるであろう この気持ち 一生懸命 苗を植え すくすく育って 実りつつ ある稲を見て 思ってた 成長した我が 子の為に 貴方の為に 考える 帰ってきたら 隣町 素敵な女 生きている お見合い結婚 出来るよう 遠くに足を 向けまして 毎日となりの 町まで歩き 若い女に 言いました いいかいあんた 苦労して 苦労を重ねて 日本の為に 出来ない仕事 人殺め 戦地で心 死にまして 帰ってくるこの 紅の 日本の男 大和かな 大和魂 胸に秘め 死に行く者を 見届けて 涙を枯らした その心 死んだ心を 癒すのは お前の様な 若い子ぞ 若いおなごが しっかりと 良い稲作る 飯作る 素敵に見える 女なら 生きて帰って 来た者は 嬉し喜び 大はしゃぎ 女の取り合い 和やかな 笑いの絶えない 大和国 にっぽん大和 出来るなら 我らが稲を 懸命に 台風来ないか スズメなら 毎日監視 何のその 身を削る事 お構いなし 我こそ国民 天皇に 身を捧げたは 男前 女前なら 我らこそ 立派な姿 稲穂かな 全てが終った 後ならば 少々の事 許せると 和やかな日本 取り戻し 手と手を取り合う 姿なら 今までやって きた事は 水に流せぬ 物事も 流せる様に 神様に お願いせねば なりませぬ ならば今こそ この時に せっせせっせと 出来る事 今の自分に 出来る事 今すぐ出来る 事全て 自分で考え 考えた 結果を言う事 あらずして 曲がった背中を 御覧あれ 頭を垂れる 稲穂かな 日本の為に 曲げました 稲穂の様な この背中 戦地に行った 者達の 心を癒せた ものですか あの時戦争 受け入れて 涙ながらに 帰ってきては ひとしお泣いた その後に 子供が欲しいと 言いました 男の涙 苦しくて それでも女は 用意した 我が子の頼み 十分に 果たせたものと 考えた しかしながらも 心から 笑っているか 我が子供 死んだ兵士を 見届けて 脳裏に焼き付く 死に顔を 思い出す日が 常々に あるものだろうと 考える ならば己に 何を課す 今すぐ自分に 出来る事 それはこれしか ありません 貴方の為に 不器用に 必死になって 考えた 稲作これしか 出来ません 自分が生きて いる時は 背中を曲げて 生きましょう 背中を曲げて 生きましょう、、、。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

弟子
「辛いです。非常に辛いです。」

キリスト
『当時の稲作を本業とするおばあちゃん達は若い頃、恥じらい、というものがあったんだよ。つまり男性に恋をすると顔が真っ赤になって、喋れなくなるんだ。』

弟子
「なんだか、かわいいですね。」

キリスト
『デートしに行っても、ちょっとした言葉や優しさが嬉しくて、でも、そんな嬉しい感情を、相手に表現出来なかったんだ。』

弟子
「純粋なんですね。」

キリスト
『そんなピュアなおばあちゃん達が若い頃、好きになった男性との恋の中で、互いに言う事の出来なかった、言葉にする事の出来なかった感情を歌にして、本日はお別れと致します。』

弟子
「はい、ありがとうございました。」