ガードハロー、6480円
常日頃からハローを口にする国民の皆様。お待たせしました。こんにちはが言えなくて困っている人がいない所をみると、ガードハローの役目きっちりと果たせているとにらんでいる、キリストです。
本日は、歯磨きを毎日欠かさずするキリストの弟子、しょうたくんからの御紹介です。しょうたくん、どうぞ。
ぼくは小学三ねんせいの、しょうたくんです。まいにち、おかあさんが、言ったからです。「がーどはろーをかってきて。」おとうさんは、きのう、かってきた。はろーは、こんにちは。がーどは、まもる。こんにちは、を、まもるかいに、はいったです。おしまい。
昨日しょうたくんとすれ違った近所の奥さんは、「こんにちは。」と元気に言った。きっと、ガードハローは使っていないだろう。しかし、しっかりとハローをガードしているように見えた事から、しょうたくんは納得していた。
しょうたくんは、朝は決まって後ろに腕を組み、ガードハローをしているか監視している。
登校中の生徒や、校門で待つ先生にまで。
自称、こんにちは、を、守る会のトップだからだ。
昼休みは、好きだった妖怪ウォッチをやめた。
後ろに腕を組み、運動場を見回りする。
自称、こんにちは、を、守る会のトップだからだ。
早めに下校するのをやめた。
全員ガードハローをしてからでないと、帰れない。
こんにちは、を、守る会のトップが校門に立っているからだ。
下校中、行き交う車の運転手はおどおどしていた。
信号待ちをしている少年が、こんにちは、を、守る会のトップだったからだ。
家族で遊園地に行った。
乗り物には一切乗らない。
お母さんは言った。
「しょうたちゃん、乗らないの?」
しょうたくんは、首を横に振って黙っている。
まがいなりにも、こんにちは、を、守る会のトップだからだ。
夜寝る前も、洗面所のガードハローが減っているか確認する。
家でも、こんにちは、を、守る会のトップだという事実に変わりはないからだ。
責任感と使命感を胸に、今日もしょうたくんはハローをガードしている。親はしょうたくんが、こんにちは、を、守る会のトップだという事実を知らない。自分の仕事を見せびらかす訳ではなく、素直に監視活動をしているしょうたくんの功績を称え、おおまかな、ガードハローの概算、6480円。日本における、しょうたくん任せの、あいさつの行き届く、そんな町作り。小学3年生の男前に習って、毎日ガードハローで、歯磨きをしようじゃありませんか。
それでは、また。