おおまかな概算④ ケントくんの熱帯魚

nettaigyo

ケントくんの熱帯魚、169800円

 ちわっす。秒単位で嫁の行動が読めないと、苦し紛れに昨日までの嫁に対する非礼を口にしていしまいそうな36才、キリスト先生の弟子、ケントです。本日は私の使命でもあります、常に嫁の思考を把握するという、数奇稀な本物のテクニックを、皆様にお披露目させて頂く機会を、キリスト先生に設けて頂き、心より感謝しています。宜しくお願い致します。

一応、まがいなりにも血尿になったほどの研究結果ですので、真剣に聞いて下さい。

 あの浮気を知っているかもしれない、というような、妻の怪しい雰囲気。普通の事を聞いているだけなのに、とにかく心配でしょうがない。こっちがこうゆう気持ちになった時のポイントは、すぐに泣き寝入りをしてはならない、という事です。

『ねえ、昨日仕事終わりにどこ行ってたの?』

「飲み会だよ、飲み会。どうしたの?」

これが、一番危ない返事です。この場合は、私、ケントの場合、こうなります。

『ねえ、昨日仕事終わりにどこ行ってたの?』

「行ったよ、飲み会。同じメンツであまり面白くなかったけど、、、。」

嘆きぎみのこの言葉は、妻が昨日の飲み会の事を知っているかの様な、そんな発言。これにビックリした妻は、返事に少し困るはずです。

『っあ、、、。そうなの、、、。』

ここが、ポイントです。飲み会に行ったことを、お前もすでに知っているだろ、というような発言をしたら、言葉につまずきが出ます。つまり、二人の間に少し、空間が出来ます。この空間こそが、我々の言う所の、【殺し合い】です。その瞬間に、私と妻は、お互い何気なくテレビを見ながら、夕ご飯を食べながら、子供をあやしながら、心の中でののしり合う言葉。

『絶対にお前が悪い。』

面白いテレビを安堵の心持ちで見ている顔つきで、心の中、息もせぬ、血なまぐさい殺し合いをしているのです。私には時間が必要です。疑惑をかけられた私の、態度なのか、言葉なのか、それとも、自分の会社にスパイが潜んでいるのか。それをひっきりなしに思い出す時間が、僕には必要だから。だからその瞬間に、妻がマシンガントークに持ち込めない要素を、作る必要があるのです。もし浮気がバレて、唯一の趣味である熱帯魚を取られてしまったらと思うと、毎日が苦しくてなりません。こうやってなんとかして毎日を乗り越え、熱帯魚に癒されながら暮らすケントがいることを知ってもらいたく、キリストさんのホームページに、必死になって頭を下げ、掲載させて頂いた次第であります。

ちなみに本日は、私、ケントの研究結果は1個までと、キリスト先生に言われていますので、ここら辺で終了させて頂きます。ありがとうございました。

 ケントくんの血尿メモリアルの一部を公開させて頂きました。私、キリストは、「単(たん)に恥じらいを捨て、お互い何で結び合っているのかを再度確認し、互いの良心を露(あらわ)にし、優しい心の形を見つめ合いながら、共に暮らせばいいのではないですか。」と言った所、必死になってケントくんが言った事はこれでした。

「妻に離婚されると思ったら、まずは疑念を晴らしてからでないと、前に進めません。心よりキリスト先生に陳謝して、本日も妻の顔色を伺いたいと思います。」

そんな自宅のテーブルの上に置いてあるこの、ケントくんのがんじがらめの人生を助ける働きもしている熱帯魚。おおまかな概算、169800円。程良く妻とケンカをして、慰め合って、見つめ合って、最後は結ばれ合って、互いに感謝しながら、共に暮らす。

ああ、人生の程良い加減を皆様に。

また、書きましょう。